aruku note

世界は、価値の鉱山だ。

パワポ撲滅をあきらめない

Adobe Senseiの衝撃に、未だに頭がクラクラしています。AIに何ができるかを示した鮮烈さという意味では、AlphaGo Zero以上ではないでしょうか。

ただ私個人は、Adobe Senseiに「クラクラ」はさせられても、「ワクワク」はそれほどしていません。Adobe Senseiはデザイナーのためのツールですが、私がもっと興味を持っているのはノンデザイナー(デザインの専門家でない人)のデザインだからです。

デザイナーの世界での出来事は、しょせん世の中のデザインの「良し悪し」を変えるだけです。一方、ノンデザイナーが最低限のデザインの基本を押さえられるか否かは、デザインの「有無」にかかわる問題です。

世の中にあふれる「デザインの空白」に、ウンザリさせられることはありませんか。たとえば日本の都市景観。まあアジアの都市なんて大体そうではあるのですが、しばらくヨーロッパに滞在して東京に帰ってきたりすると、あまりの乱雑さ・ちぐはぐさに悲しくなってしまいます。


北欧のデザインセンスが一時期もてはやされましたが、日本のデザインだって決してダサくはないと私は思います。というか今時「明らかにダサいデザイン」なんて、世界のどこを見てもそんなにありません。

たとえば広告。たとえばWeb。たとえば家具家電。デザイナーが介在するところでは、クールなデザインは世界中で生まれています。

問題は、専門家としてのデザイナーの関わりが薄い領域です。個々の建物をデザインするばかりで、全体像である景観を「デザインする」という発想がそもそも無いアジアの都市などは、その典型例といえるでしょう。

 

もっとも身近に遭遇する「デザインの空白」のもう一つの例は、ビジネス文書でしょう。別にクールな凝ったデザインを盛り込む必要なんて無いのですが、最低限のデザインの基本原則すら押さえられていない文書を見るのは苦痛だし、頭に入りません。「近接、整列、強弱、反復」というやつですね。

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]

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中でもやはりひどいのはPowerPointいま「パワポ 撲滅」でググったら案の定たくさんヒットしました。

パワポでもデザインの整った資料を作ることはできますが、とにかく時間が掛かる。すると生まれるのは、見るも無惨な汚いスライドか、Wordなら15分で書ける内容を3時間かけて作り込むオジサンたちのどちらかです。

かといって最近耳に挟む「スライド全面禁止」みたいな話もちょっと極端です。社内資料はWordで良いかもしれませんが、営業の人間からするとやはり、ここ一番ではスライドではないでしょうか。

 

ノンデザイナーにとってパワポの最大の問題は、「何でもできてしまう」こと。使途不明の汚いフォント(この点はKeynoteならマシですが)からぐちゃぐちゃのレイアウトまで、デザインの基本原則から自由に逸脱できてしまうから困るのです。

そう、ノンデザイナーのデザインを最も助けてくれるのは「制限」です。「補助線」なんて生半可なものではなく、最初から基本原則に沿った限られたデザインしか作れない大幅な「機能制限版」のパワポがあったら、作り手としても読み手としてもどれだけ助かるだろう、と思います。

都市景観はちょっと個人でどうにかできるものではありませんが、これは個人でも戦える気がしています。Webアプリか何かで作れないかしら。