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aruku note

世界は、価値の鉱山だ。

SNSの斜陽と、新しい「旅」のチャンスを考える

「旅」の持つ意味合いは、SNSの登場で大きく変わりました。正確に言うと、特定の意味合いを持つ特殊な「旅」を志向する人が、とても増えました。

SNSにアップするための旅。写真に映える旅。人の目を引く、インパクトのある旅。

これらもれっきとした「旅」の一種類ではあり、否定するつもりは無いのですが、それだけが旅ではないし、そればかりしている人はもったいないなぁ、と素朴に思います。

幸か不幸か、SNSというもの自体、一定の距離を置いて眺められる時代がやってきました。SNSに没頭するのは、ちょっと格好悪い。「SNSあるある」のようなメタネタが面白がられる。だからといってすぐにSNSが無くなるとはまったく思いませんが、一時期の勢いを失くしていくのは確かでしょう。

「旅」を見直す

SNSの呪縛から離れて、「そもそも、旅とは何なのか」をもう一度考えてみましょう。

本来とてもブログの一記事で語れるようなテーマではなく、古今東西さまざまな旅人がこの問いに挑戦していますが、私なりの答えは「日常の相対化」です。

日常が絶対化すること、つまり「日常」が自分にとっての世界のすべてになってしまうことは、幸せか不幸せかというよりも、危険です。「日常」が楽しいときは、それに没頭してしまうのも良いかもしれない。でも、「日常」が辛いもので、それが絶対化してしまったら、まるで世界がまるまる自分の敵であるかのように思えてしまう。

連戦連勝、順風満帆の人生を送っているのでない限り、「世界は自分の『日常』の外にも広がっている」と定期的に自分に気付かせてあげることは、自己防衛のための大切な知恵なのです。

blogos.com

もう一段階掘り下げてみましょう。「日常の相対化」とは、何によって得られるのか。

一つの答えは、「非日常」に触れることです。SNSにアップするための旅も、多くはこれに属するでしょう。

これはこれで、私は好きです。思い出に残りやすいし、アルバムを見返しても、やはりこういう旅が一番華やか。できれば年に一度くらいは、こういう旅をしたいなと思っています。

これからの「旅」の価値

日常を相対化するためのもう一つの解は、「他の日常」に触れることです。

東京に来た観光客を例に考えてみましょう。外国人なら特に、鉄板の行き先はやはり浅草寺です。間違いなく人気No.1でしょう。

一方、私が外国人のお客さんをよく連れて行って意外と喜ばれるのは、新橋だったり、新宿・渋谷の横丁だったりといった赤ちょうちんの飲み屋街です。

両者の違いは何か。浅草はほとんどの現代東京人にとっても「非日常」です。一方、赤ちょうちんの飲み屋街は観光客から見れば面白いけれども、多くの東京人にとって「日常」である、つまり外から来た観光客にとっては「他の日常」なのです。

浅草のような「非日常」に触れるのが「コト・モノ」に焦点を当てた旅であるのに対して、飲み屋街のような「他の日常」に触れるのは、「ヒト」の営みに焦点を当てる旅になります。

「他の日常」に触れると、人間の世界はこんなにも広いじゃないか、と思えます。

みんなそれぞれ悩みも辛いこともあるんだろうけど、何だかんだ言いながら生きている。たかだか自分の周りで問題が起きているからって、世界中の人たちが自分を責めるわけでもない。

辛いときは価値観の軸がいつの間にか狭められて、「◯◯が得られれば幸せ、得られなければ不幸せ」と考えがちですが、人の価値観がいかに多様か、幸せの見つけ方・感じ方はいかにたくさんあるか、「他の日常」に触れることでしばしば気づかされます。

「非日常」を求める旅の異様なフィーバーがSNSの斜陽とともに徐々に落ち着いていくであろう今後、「他の日常」に触れる旅の価値は自然と相対的に見直されるでしょう。

これからの「旅」の市場機会

そんな中で、ビジネスチャンスを見出せる分野の一つは旅行ガイドです。

TripAdvisorなどの旅行情報サイトでツアーの情報を探すと、すでに多くの場所で、ユーザー満足度の上位には個人や小規模で地元運営している旅行ガイドが食い込むようになってきています。

実際、最低限の語学力と危機管理意識さえあれば、「地元」のプロで、「小規模」ゆえの柔軟な対応をしてくれるガイドさんの方が、明らかにメリットは多いです(しかも安い)。

一方、例えば団体ツアーのように、何かの「コト・モノ」を見るために最適な旅の形を追求してしまうと、その時点であなたが属するのは「観光客の集団」であって、「その土地の日常」の中のひとりとして溶け込むのはどうしても難しくなります。

「地元の日常」を味わうツアーを実現しやすいということの価値が気付かれれば、今後さらに「地元・小規模」型の旅行ガイドのチャンスは広がるのではないでしょうか(というか私自身、帰国したら週末だけでもやってみたいと思います)。これまで大きな壁であった「信頼性」がTripAdvisorのようなレビューサイトで取り払われると、団体ツアーの優位性はもうほとんど存在しないように思えます。

地元の日常を味わう旅。例えば東京なら、こんな行き先が入ってくるでしょう。

  • 赤ちょうちんの飲み屋街
  • 皇居ラン(ランステという世界に類を見ないおもてなしシステムで快適ランニング。特に欧米人は旅先でのランニング好きが多い)
  • 野球のナイター(ビールと応援歌を楽しむ、日本独特の観戦スタイル)
  • スーパー銭湯(この世の天国)
  • アニメ・マンガ体験(コアファン向けばかりでない、「普通の大人」もハマれる文化。ところで英語翻訳版の日本マンガを取り揃えたマンガ喫茶というのも相当ニーズある気がするんですが、まだどこにも無いなら起業してみようかしら)

「地元民にとっては日常だけど、ゲストにとっては日常でなくて面白いこと」を、「単なる日常」と嗅ぎ分けるのは、少し難しい。「非日常」の観光スポットを紹介するよりは、はるかに頭を使わなければなりません。

そういう価値を見出す嗅覚は、どうやったら得られるのか。

ここでも答えは、自分の日常を相対化すること、ですね。

絶対に「来る」ストックホルムの怪物スタートアップ、truecallerに突撃インタビュー!(後編)

ずいぶん間が空いてしまいました……。前編の続きです。

aruku000.hatenablog.com

人員はほとんどエンジニアですか?

いえ、エンジニアは全体の6−7割ですね。残りはノンエンジニア(いわゆる文系)です。

そういえば、採用ページでもローカライゼーション・マネージャーという募集枠がありましたね。これは間違いなくノンエンジニアでしょう……日本市場向けのローカライザーも要りませんか!?(筆者は文系)

ローカライゼーション・マネージャーというのは、特定の市場ごとにローカライズを担当しているわけではないんです。各国のAppStoreで翻訳版がリリースされるにあたって、一定のデザイン性やブランドコンセプトが保たれるように気を配るのが仕事です。

AlanのSlushでのプレゼン(前編に掲載)にもあった通り、単純な数だけで言えば英語さえ対応しておけば十分なシェアは取れるのですが、特定の言語に非対応であることが、AppStore上で感情的な低評価・批判コメントを招いてしまうこともあります。

だからマーケットを広げるにあたって、各言語版についてそれぞれしっかりとクオリティを保つことは大切なんです。

なるほど。人材を集める観点から、ストックホルムという立地についてはどうでしょう?

そうですね、やっぱりここ数年でグッと才能が集まる都市になったという実感はありますし、そもそも住む場所としては世界でも最高の選択の一つだと思います。ただ……

ただ?

当たり前ですが、税率が高いというのは、ビジネスを急成長させようという中では本当に重い足かせですね。

スタートアップではストックオプションが優秀な人を連れてくるための一つの重要ツールですが、その譲渡にも重い税金が掛かってきますし。

スウェーデンの国家モデルが世界的にも評価されているのは知っていますが、この点は本当に、外から見ている以上にみんな苦戦していると思います。

あー……。シリコンバレーとの比較を意識することはありますか?

シリコンバレーはスタートアップのホームタウンとしてはるかに成熟しているので、ストックホルムはまだまだずっと手前のステージにいると思います。

シリコンバレーはもっと、事業しかり人材しかり、とにかく競争原理ががっつり働いてみんながしのぎを削り合っている。どちらが良いとはあえて言いませんが。

今のストックホルムだからこそ味わえる環境のバランスというのも、あるのかもしれませんね。

そうですね。そういえば日本も最近ユニコーンを輩出して、アメリカに進出するって話がありませんでしたか?えーと、名前は……

メルカリ?

そうそう、メルカリ。個人的にはアメリカ市場って大きいは大きいけど細分化されてて、「一網打尽」にボリュームを取り込める新興国市場と比べると、あまり魅力を感じないんですけどね。幸運を祈ります。

筆者注:この論点については面白い記事を見つけました。「あえて」の米国進出ということのようです。

www.fashionsnap.com

さて、そろそろ時間も迫ってきました。Kimさんのキャリアプランについて伺っても良いですか?

うーん、この会社で働くことを、「キャリアの通過点」という位置付けではあまり捉えていないですね。ストックホルムのスタートアップの人たちは、案外そういうタイプが多いんじゃないかと思いますけど。

少なくとも今は、とにかくtruecallerのポテンシャルに心の底からワクワクしている状態です。私たちの可愛い赤ちゃんみたいなものですから、まずはこのプロダクトで世界を変えてやりたい、というところに尽きます。

その先のことは、今のところは考えられないかな。

なるほど、よく分かりました。では最後に、日本の皆さんにメッセージを!

とにかく話した通り多様性を大切にしているチームなので、世界中どんなところからでも才能をお待ちしています。

truecallerは、間違いなく数年以内に世界を変えるプロダクトだと私たちは確信しています。大きな事を成し遂げたいという熱い思いのある方は、是非HPからエントリーをお願いします!

Kimさん、ありがとうございました!

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(お土産にいただいたTシャツ)

まとめ

  • ストックホルムは、意外と多国籍なチームが成り立つ場所だった
  • でも理想郷ではない。当たり前だけどやはり、高税率はスタートアップには重荷
  • 事業の出発点となる問題意識がファンダメンタルだと、射程圏内に入るパイはここまで大きくなる
  • 先進国の常識では全く想像のつかないような商売のツボが、新興国には多々ある
  • キャリアアップも良いけれど、腹の底からの情熱には敵わない

インタビューの依頼を出した時はあまりにも厚かましい申し出で正直ドキドキでしたが、思い切って伺って本当に良かったと思える貴重な時間でした。またいつかお邪魔したいと思います!

絶対に「来る」ストックホルムの怪物スタートアップ、truecallerに突撃インタビュー!(前編)

今回の休暇では北欧を旅してきました。中でもスウェーデンの首都ストックホルムは、シリコンバレーに次ぐ世界第2位のスタートアップ都市と言われており、きわめて興味深い場所だ…というのは前回の記事でご紹介した通り。

で、あれば。どんな観光スポットを差し置いても、スタートアップを見物せず帰る訳にはいくまい。

という野次馬根性で、「Stockholm startup」でググって出てきた適当な会社にメールを送り付けたのが一週間前でした。

日本語だしどうせ分からないであろうと、この泡沫ブログを根拠に「Japanese blogger」を名乗っての取材依頼。自分なら絶対断るなぁ……と正直あまり期待していなかったのですが、意外にも5社中2社から快諾を頂き、じっくりとお話を伺うことができました。

truecallerを知っていますか

1社目は、スマート電話帳アプリを提供するtruecaller

イエローページをクラウドデータベース化したようなアプリで、自分の端末の電話帳に登録していない相手でも、truecallerのデータベースに載ってさえいれば、名前から検索して電話番号を知ることができます。

また逆に着信時にも、端末への登録有無にかかわらず発信者情報を表示してくれます(スパム報告の多い番号であればブロックできる)。


The New Truecaller – A smarter way to make calls

正直、下調べの時点では「ふーん」としか思わなかったのですが……。このプロダクトのポテンシャル、相当ヤバいです。そのあたりはまた後ほど解説します。

いざオフィスへ

シリコンバレーと違って都市自体は古くからの歴史があるので、建物の外観は「いかにもスタートアップ!」という感じではありません。

少々わかりづらいですが水色の旗にtruecallerと書いてあります。

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オフィスに入ると、卓球台、そしてオシャレなリラックススペース。ああ、スタートアップですね。

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さて、今回出迎えてくれたのは渉外責任者のKim Fai Kokさん。ルーツはマレーシアの華僑ですが、生まれも国籍もスウェーデンです。80人前後の同社で4番目の古参とのこと。以下、彼との一問一答です。

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どんな経緯でtruecallerに参画したんですか?

スウェーデンの大学で国際ビジネスを専攻していたんですが、途中でオリンピック当時の北京やW杯当時の南アフリカに留学して、世界中からクールな人たちが集まるのに触れ合うことができたんです。それがすごく刺激的で、キャリア観に大きく影響を受けた。

中でも当時、新たなビジネス領域として黎明期だったスマホアプリの産業に興味を引かれました。

実はCEOのAlanは大学時代のメンターとして知っている相手だったので、卒業と同時に彼に掛け合いました。会社は立ち上がったばかりで私に給料を払えるようなお金は無くて、無給とせざるを得ない状況だったのがネックでしたが……

無給でですか!?すごい決断ですね。

周りからは当然、何をバカなことを言ってるんだと大反対されました(笑)。

でも、こんなチャンスは無いと。こんなに面白くて、世界を変えうるようなビジネスに、どうしても自分も参加したいと思いました。

技術系のスキルがある訳でもなかったので、最初は本当に雑用係。みんなの朝食を用意したり、オフィスを掃除したり……。でも結局、無給期間は数ヶ月に留まり、ちゃんと給料を貰えるようになって今に至っています(笑)。創業メンバーとして持ち株もありますしね。

なるほど。当時の会社の陣容は?

まずCEOと、共同創業者。それに現CTOがいて、3人ともバックグラウンドは技術系。その次に入ったのが私ですね。

ちなみにCEOは私と同じで国籍はスウェーデン人ですが、ルーツはクルド系。同じく共同創業者はイラン系、CTOはトルコ系です。この多様性に富んだ文化も当社の魅力・強みの一つだと思っていまして、現メンバーは約80人ですが、40以上の国籍で構成されたチームになっています。

truecallerの、プロダクト面の強みは何でしょう?そもそも私、このサービスの軸が何なのか今ひとつ分かっておらず……スパムブロッカーとして優れている、とか?

いえ、もっと根本的な問題を解決しているのがtruecallerなんです。

そもそもの発想は、電話番号というものが発明されてから相当な時代を経ているにもかかわらず、なぜこんなにも進歩していないのか、という問題意識から出発しています。

例えばメールアドレスであれば発信者のドメインが分かり、IPアドレスが分かり、さらに署名を付けていれば大方の基本情報が分かる。それに対して電話というのは未だに、知らない番号から掛かってきたら何も分からない。番号そのもの以外、ひも付いた情報が何も無いですからね。

だからこそ、AppStoreも無いような時代(携帯にアプリを入れるということが、パソコンやら専用ケーブルやらを動員したややこしい特殊な作業だった時代)にリリースして、初週で1万ダウンロードという結果に繋がった。

そんな時代があったことすら知りませんでした。状況を考えると相当な数字ですね。

そうなんです。今はさらに、インドや中国といった新興マーケットへの進出に力を入れていますが、向こうでは尚さらヒットしています。

なぜなら、新興国スマホに触れ始めた層の人たちにとって、Eメールはまったく身近なものではないんです。先進国にいると、メールアドレスというものをもはや当たり前のような存在のように考えてしまいますが。

だから、先進国でよくメールアドレスを記入してアカウントを作るのと同じような感覚で、電話番号が唯一の個人認証の手段となっています。その電話番号にひも付いた情報のデータベースを提供しているので、当然重宝される。

素晴らしい!Slush(フィンランドのスタートアップイベント)でも、新興国戦略のポイントをCROのAlanさんが話されていましたね。


Building Apps For Fast Growth Markets by CEO of Truecaller

ええ。プレゼンでも説明されていたように、新興国で売られている格安仕様のスマホは、データ容量が先進国のものよりはるかに小さい。

だから先進国マーケット以上に、画面下の「常駐アイコン4つ」のスペースに入れてもらえるかどうかに全てが懸かってきます。それ以外の「あったらいいけど、なくてもいい」みたいなアプリを、入れてもらえる容量なんて無いんです。

そういう「必需品」のアプリとして、truecallerは認識してもらえている。新興国での拡大が順調に進んでいるのも、そのおかげですね。

私はてっきり、インド市場に精通した凄腕マーケターがいたのかと……

実は、そういう属人的な要素は本当に無いんです。アプリをリリースして、それがマーケットに受けて、あくまで自然発生的にヒットした。これに尽きます。

普通、スマホアプリに手を出す時点で、対象ユーザーは「スマホユーザー、かつ、〇〇」となってしまいますよね。Airbnbであれば、スマホユーザー、かつ、旅行者。Kindleであれば、スマホユーザー、かつ、読書好き。

それがtruecallerの場合、スマホユーザーほぼ全てがそのまま対象となるんです。何せ電話という、スマホの一番根本的な機能を押さえているわけですから。これもヒット要因ですね。

以降、後編へ続く!

アラブ人のマネージャーとして1年過ごした所感。彼らの強みと弱み

仕事で今のチームにマネージャーとして加わって、約1年が経った。

チームにはインド人やフィリピン人もいるけれど、今回は特にアラブ人との関わりから感じた学びについて。

得意分野と苦手分野

押しが強く人との間合いが近いので、そういうことが必要な仕事では心強い。営業向きだと思う。

ただ、緻密な作業は苦手。一度コミットしたら食らいついて粘り強くやり遂げる、という責任感も強くない。放任では尻すぼみになりがちなので、ちょくちょく盛り立てて勢いを維持することが大事。

社内外ともに、「言ったのに何でやってないの?」ということはあまりにも数多すぎるので、いちいちキレていたら身がもたない。これはもう、自然と人のコミットメントには期待しすぎないようになる。

反応のわかりやすさ

日本人のような、上司にはとりあえず従順に従っておけ、というマインドは薄い。
だから、不服そう、納得していなさそうなことは良く分かる。そういうフィードバックを元に伝え方を修正していくことがしやすく、マネージャーとしての力量の良い訓練になっていると思う。
その意味では、日本人の部下こそ、マネージャーとしての力量を鍛える上では厄介なのかもしれない。

向上心vsプライド

一番難しさを感じたところ。色々なポイントでやんわりと「改善」を提案するものの、すごく敏感に「それは既にやってる」「だけど◯◯(他の誰か)が××だから良くならないんだ」と、自分のプライドを守る方向に行ってしまう。

多少思うところがあっても、まずは改善できる部分があることを謙虚に受け止めて……などと殊勝な発想は、まず期待できない。

なのでこの手の話をする前には、個人を責めるつもりが全くなく、チームのパフォーマンスを上げるために何ができるか一緒に考えて欲しい、というスタンスを何よりもまず強調する。

それでも、放っておくとすぐ「他の誰か」の改善という話にズレてしまう。しかしそこは、「分かった、確かにそれはそうだと思う。でも、うちのチームにも何かしら改善できる部分があるんじゃないだろうか」と、しつこく問いかけるようにしている。

意外と歳は気にする

日本人のように自分と比べて年上・年下という見方ではないが、肩書きだけでなく、年齢もけっこう気にしている。

肩書きが付いていても若造は若造として見られるし、逆もしかり。だから、大事な交渉には肩書きもさることながら、年齢も鑑みながら布陣を考えたりする。

一肌脱いでくれる

兄貴肌みたいなところがあり、「助けてくれ」「教えてくれ」的なスタンスでお願いしたことには、すごく頑張って応えてくれる。

アラブ人自身が厳しい交渉をする時の最後の切り札も、自分という個人がいかに困っており、相手の助けを必要としているかを訴えかけることだ。相手に対しても「最後は一肌脱いでくれるはず」という感覚があるのだと思う。

ケニアの大自然で、ミラーレス一眼を振り回してきました

ラマダン明けの連休を利用して、ケニア旅行に行ってきた。

高倍率ズームレンズを買っていなかったことを強烈に後悔したが、それでもやはりデジタル一眼(とLightroom)って素晴らしい。「写真が趣味」とは口が裂けても言えない技量と予算だけれど、人生の思い出を残すうえで、「ちょっと良い写真」の威力はすごく高いと改めて思っている。

行く前は、いろいろケニア経済の展望とか難しいことも考察しようと思っていた。が、サファリでただただ自然に圧倒されて帰ってきたのが実際のところなので、今回はウダウダ書かず写真だけ掲載する。

TVか動物園でしか見ないような獣たちが目の前にひしめき、現実感すら失いかけるサバンナの光景は壮観の一言。ぜひ一度は、ちょっと良いカメラを携えて訪れていただくことを強烈にオススメする。

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バッファローの群れ。肉食獣もこういう大群は襲わない。

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インパラ。一匹だけツノが生えている=オス、つまりいわゆるハーレムだ。

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シマウマの警戒心の高さはトップクラス。アップの写真がない。

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夜行性なので、日中はだるそうなライオン。

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寝てしまった。

 

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象はけっこう大群で暮らしているので驚いた(この写真内の10倍くらい)。

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いざ迫られると、地上最強生物の圧迫感がすごい。ライオンより全然怖い。

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あまりにもホイホイ出てくるので、後半はリアクションが薄くならざるをえなかったキリンたち。心なしかスネている。f:id:aruku000:20160722224116j:plain

砂漠に暮らしている身としてはたまらない景色。深呼吸のたびに生き返る気がした。

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遠くのイノシシに狙いを定めるライオン(残念ながら狩りは失敗していた)。

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食事帰りか、返り血に染まるハイエナ。

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たそがれるバッファロー

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ヌーの群れ。よく見ると画面奥まで続いている、とんでもない大群。

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わかりづらいが今回の旅を通じて最大のハイライト、ヌーの渡河。大迫力です。

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疾走するヌーの親子。ランニングフォームの格好良さは草食獣でトップクラス。

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日が暮れるにつれ、ハンターのスイッチが入るライオンたち。オーラが変わった。

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まさに自然のパワーを存分に充電でき、大満足の旅だった。サバンナよいとこ、一度はおいで。

ヨーロッパ最貧国、ウクライナのリアル。「今が旬」のキエフ探訪記

週末を利用して、ウクライナの首都キエフを見に行ってみた。

ウクライナといえば1人あたりGDPでヨーロッパ最貧国に位置し、政治・経済両面で困難にあえいでいる。にもかかわらず、今回の旅を通じての私の仮説は、この国は長期的に見て「今が旬」ではないかということだ。旅行するにも、ビジネスをするのにも、である。

と、言いつつ、今回は結論を急がず、徒然なる旅行記形式で。

搭乗ゲートから、何かが違う

ドバイ国際空港は、大まかにいって次のようにターミナルを使い分けている。

  • ターミナル1:下記以外の航空会社
  • ターミナル2:フライドバイ(ドバイLCC
  • ターミナル3:エミレーツ(言わずと知れたドバイのメインエアライン)

今回はフライドバイだったのでターミナル2。エミレーツのターミナル3に比べ、ターミナル1と2は露骨に設備がショボい。この国は、経済の大黒柱であり躍進の立役者であるエミレーツを超厚遇することに躊躇がないのだ。

一番顕著なのはトイレで、客層やメンテナンスの違いもあって正直かなりバッチい。そうは言っても生理現象に逆らう訳にいかず、私と同僚2人は朝からげんなりさせられた。

ところが、だ。いざ搭乗口へ向かうと、突如として挙動不審に陥る男3人組。美女、美女、美女。見目麗しい女性の多い国というのは知っていたが、それにしても実際に目にすると「質・量」ともに圧巻である。

いつもテンションの下がるターミナル2で、予想外の胸の高まり。…を、必死に抑えて平静を装いつつ、いざキエフ行き直航便に乗り込んだ。

中東→中央アジア→東欧

ペルシャ湾を越えて、イラン→トルコ→黒海ウクライナ、と上空を進んでいく。

荒涼とした山々が広がるイラン、

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緑が混じりはじめるトルコ、

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そして緑豊かなウクライナ

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約5時間のフライトを経て、キエフへ到着。着陸直後の「アップ」の市街地は至って平凡だが、その前の「引き」の風景はなかなか特徴的だ。

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平地でこれだけ偏った土地利用というのはまず見たことがない。旧ソ連圏に入るのは初めてだが、「見えざる手」に委ねない、計画経済ならではの帰結かもしれない。

とにかく安い、そして美味い

例えばビールの値段がこれ(1フリブニャ=約4円強)。かなり良いレストランで、大の大人が値段を気にせず満足いくまで飲み食いしても、日本円換算で2000円を超えることはめったにないと言っていい。

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料理で有名なのは何といってもボルシチだが、チキンキエフという、とろけるバターを閉じ込めた鶏肉の揚げ物なども実にうまい。総じて日本人の味覚にはヒットするはずだ。

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観光するなら、王道はロシア正教の寺院巡り。趣向を変えたければ、チェルノブイリツアーというのもある。原発事故跡は今は観光地化されていて、ガイガーカウンターを持ちながら廃墟を巡るツアーが流行っているのだ。未だ毎年莫大な費用を掛けて対策を強いられているチェルノブイリを、少しでも収入源に活用しようという取り組みである。

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とにかく、今は何をしても安い。人気スポットが密集しているようなザ・観光地ではないが、コストパフォーマンス的には現在トップクラスの旅行先だろう。

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「ヨーロッパ最貧国」のリアル

いわゆる「ウクライナ問題」を超ざっくり捉えると、以下のような流れになる。

  1. 第二次大戦前、ソ連ウクライナの東部を弾圧・同化
  2. ウクライナ東部はロシア人の街となり、産業集積、経済規模が拡大
  3. 21世紀になって欧米がウクライナ取り込みを図り、西部に根強く残る反ロシア感情を煽って親欧米政権成立
  4. とはいえロシア化した東部なくして経済は成り立たない状態、かつ生命線である天然ガスの元栓はロシアが握っている
  5. 新欧米政権と距離置き独立を図る東部・ロシア派と、それを認めない西部・政府派が衝突

つまり、根っこの根っこを辿れば旧ソ連が悪く、感情面の反発は根深いのだが、もはや現実的にはロシアを大事にやっていくのが最適解。それを国民の大部分は薄々分かって折り合いをつけていたのに、欧米のちょっかいで知れ切った混乱に陥ってしまったのだ。

なので、実際に訪れたキエフ(西部に属する)は驚くほど悲壮感がなかった。政治家たちが「作られた民族感情」で色々やっている一方、国民の多くは、本気でロシアをやっつけろというムードではない。

輸入品(分かりやすいのはタクシーの車両)こそ充実していないものの、インフラは決して貧困国のそれではないし、人々の教育レベルも高い。唯一、東部での戦闘がGDPを「実力値」よりも押し下げてしまっており、これに国民みんなが本気で血道を上げているのであればまずいと思ってたが、そういう訳ではないことが今回良く分かった。

長期投資の鉄則は基本的に「過小評価されている焼け野原を買え」ということなので、これに勝るエリアは今なかなかないだろう。ウクライナ侮るべからず、だ。